2018 ソフトウェア設計及び演習用の班Wiki
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コレデイイ...アリ...ガ....ト................
「はいとどめ。」
秀は振り上げた木村剣をがんちゃんの額に突き刺した。自分をこの迷宮に閉じ込め、亡き者にしようとした存在、その元凶をこの手で今打ち滅ぼしたのだ。秀はへたりとその場にしゃがみ込み安堵の溜息を零した。ようやくこれで全て終わるのだと、自分が生きていることを改めて実感する。
「これで、全部終わりなんだよな?」
そう、この物語はがんちゃんを滅ぼすことで終わりを迎える。混沌とした迷宮は溶けるように消え、今いる空間も自分の元いた端末室に戻っていくだろう。
しかし、彼はふと見上げた視線の先に信じられないものを目にした。それはここにいるはずのないモノ。ここにいてはならないモノ。
「ファッ!?良!?」
彼が見つけたモノ、それはさっきまでがんちゃんの骸があった場所に倒れこむ親友、良の変わり果てた姿だった。
「なんでお前が死んでんねん!俺が倒したのがんちゃんやろ!」
なぜこんなことに?理解が全く追いつかない。俺は確かにがんちゃんを倒したはず。ならばなぜ関係のない良が死んでいるんだ?秀は突然の事態に動揺し正常な思考もままならなかった。そんな彼の頭に記憶にないある映像が流れ込む。古いビデオのような途切れ途切れの映像には思わず目をそらしたくなるような光景が映し出されていた。親友の良が黒い靄のようなものに飲み込まれ、姿形をがんちゃんに変えられていく一部始終であった。黒い靄の正体は看破できなかったが秀にはそれが怨念じみたもの、そう歴代の教授の残した怨念の集合体のようなもののように見えたのだ。そして異形の怪物がんちゃんに変えられた良は端末室に生徒が一人だけになった時にだけ迷宮へその生徒を落とし、その生徒を喰らうという行為を何度も繰り返していた。恐ろしいのはがんちゃんに関わった者はその存在そのものがなかったことにされるのだ。現にがんちゃんに捕食された生徒は皆同じコースの学生のはずなのに秀は全くその生徒のことを知らなかったからである。そこにはもはや親友の面影は無く、悪意に満ちた怪物のそれであった。それに秀は耐えられるはずもなく、彼はその場に倒れ込み気絶してしまった。消えゆく意識の中で秀はわずかに親友の声を聞いたような気がする。しかし何を言っているのかも彼にはわからなかった。これはきっと悪夢だったのだ。次に彼が目が覚めた時には普段の変わらない日常に戻っているだろう。友人と語らい、共に学ぶ日常に。ただ一つの欠落を残したまま。
最終更新日:2018/08/10 23:58:49